新人スタッフFです。今朝は秋らしくやや肌寒さも感じました。これから秋も深まりまたまた素敵な季節がやてくる。日本は四季折々、味わい深くいいですね。

致知出版社というとても良い本を数多く世に送りだしている出版社があります。私も多くの愛読書があり、その中に、「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」という本があります。この本で紹介されている、のらねこ学かん代表の塩見志満子さんのお話しが、「人を許すこと」について深く考えさせられたのでご紹介したいと思います。今回の題目は「どこまで人を許せるか」です。

塩見さんは、長い間、教師として養護学校で人権教育を行っていました。学校では、人権に関して教育する立場にあるものの、家に帰り主婦に戻った途端、対岸の火事でその身になれないと。教育者としての自分とのギャップに悩むことになります。そしてとあるとき、人として成長するためには、生徒から学ばなくてはいけないという強い気持ちを抑えられなくなります。そして、生徒と一緒に生活するために、57歳の時に教員を辞めて、知的障害者のための通所施設である「のらねこ学かん」を立ち上げたのです。

塩見さんには、同じく教員のご主人と四人のお子様(兄弟姉妹)がいました。残念なことに長男は小学二年生の時に白血病で、末っ子の二男は小学三年生の時に、学校内の事故でプールに沈んで亡くなってしまいました。

末っ子の事故は、休み時間に誰かに背中を押されてコンクリートに頭をぶつけ、そのままプールに落ち沈んで亡くなってしまったそうです。塩見さんは怒り狂ったわけです。

「押したのは誰だ!犯人を見つけるまでは、学校も犯人も絶対に許さんぞ」と。

そんな中、ご主人が大泣きしながら駆けつけてきたそうです。

ご主人は「犯人を見つけたら、その子の両親は、自分の子供は友達を殺してしまった、という罪を背負っていかないかん。わしら二人は我慢しよう。心臓麻痺で死んだことにしたら、学校も友達も許してやれるやないか」

その後、このご主人も、国道を挟んだ畑に草を刈りに行く途中、二トントラックにはねられて62歳で亡くなってしまいました。

ご主人が横たわっている座敷で、一日中ボーとしていると、一人の若い男の人が訪ねてきたそうです。

「僕が事故の相手です。許してくださいなんて言いません。殺されても仕方がありません。どうか奥さんのいいようにしてください」と土間で土下座したそうです。

塩見さんは言いました。

「あなたは若いから主人の分まで生きて幸せになってくださいよ。そうしたら主人も成仏ができる。私が、警察署に嘆願書を出すから、どうかそうしてくださね(一部抜粋)」

「私はあなたを許すことからしか次の一歩が踏み出せないのだから、職場に復帰して幸せになってくださいね」

トラックの運転手はその場で声をあげて大泣きしたそうです。

親戚からは、「どんな常識感してるんだ!」とひどく責められた塩見さんですが、心の中でご主人に静かに語り掛けたそうです。

「お父さん、これでよかったよね」

今でも塩見さんの周りには、心優しい多くのみなさまが集まっているそうです。

限られた期間しか生きられない人の人生。

人を憎んだり、恨んだりしながら残りの人生を生きるのがいいのか、残りの人生を嫌な気持ちのまま生きるのがいいのか。
きっと、お子様もご主人もそれは望まないでしょう。

塩見さんのお話しを聞いて、「許す」ということは、事故の相手に代償を負わせることで癒されるものでもなく、今後の自分がいかに人間としての誇りをもってよりよく生きていくかを問われるものなのかと思いました。

「人を憎まず」「生きているものがこれを糧に精一杯幸せに生きること」といった思いやりの精神が人を幸せにしてくれるのかもしれません。

自分には真似できないかもしれないけれども、少しでも近づけたらいいな。人を許せる人でありたい。

私自身、学びの多いお話しでした。

人にもっと優しくならなくっちゃ。

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